植物
巴川下流域は、河口から約5kの能島橋上流付近までが感潮区間となり水面が広がっています。コンクリートや鋼矢板を用いた護岸が整備され、水際には植物はほとんどみられませんが、護岸のわずかな隙間でヨモギ、ジュズダマなどが生育しています。また、千歳橋上流右岸には、ヨシ群落がみられます。
巴川中流域は、砂州が形成されている箇所があり、水際にミゾソバ、水際から護岸にかけてセイタカヨシ、オギ等が生育しています。
また、浅畑川合流点上流には、植栽されたセイヨウカラシナが広く生育しています。
麻機遊水地では、沼地、湿地が広がっており、整備が始まってから平成16年までに、ハス、オギ、ヨシ、ガマなど、治水工事によって掘り起こされた埋土種子から蘇った草本類の湿性植物、タチヤナギ等の木本植物含む約600種の多様な植物が確認されており、ミズアオイ、ミズニラ、オアブノメなど26種の絶滅が危惧される植物が確認されています。しかし、植生遷移により貴重な植物は生育の場を失っていることが課題となっています。
巴川上流域は、河床が礫などで構成され水の流れが早いことから、山地河川に見られるセキショウ、ツルヨシといった植物が水際に生育しています。
大谷川放水路は、人工河川で垂直のコンクリート擁壁で囲まれているものの、河床が全て固められておらず、適度な水深の緩やかな流れが維持されていることから、上流域から運ばれたヒメガマ、マコモ、ヨシといった抽水植物が広く分布しています。
長尾川は、下流部は水の少ない時期には伏流して瀬切れが発生することから、水際には植物はほとんどみられません。上流の山地区間は、山地の斜面林が川と接し、瀬や淵が交互に現れているため、ケヤキ、エノキといった渓畔林が川沿いに生育し、巴川上流と同様にツルヨシが水際に生育しています。
大沢川は、コンクリート護岸及び底張工が施された区間が長く川幅が狭いことから、部分的に水際にミソソバ等が生育するものの植生の発達は少なく、河川沿いにソメイヨシノが植栽されています。
「まもりたい静岡県の野生生物」(以下「静岡県RDB」として記載)等にとりあげられた種としては、ミズネコノオ(静岡県RDB:絶滅危惧ⅠB類、環境省RDB:絶滅危惧Ⅱ類)、フジバカマ、ミズアオイ、コツブヌマハリイ(いずれも静岡県RDB:準絶滅危惧、環境省RDB:絶滅危惧Ⅱ類)等が確認されています。