治水事業の沿革と現状
瀬戸川は、長い歴史の中、その気候・地形的な特性のために度重なる洪水被害を受けてきた。そのため、瀬戸川の近代治水事業の歴史は古く、明治43,44 年及び大正3年の瀬戸川、朝比奈川、葉梨川の氾濫を契機に大正13 年から昭和8年にかけて整備が行われた。なお、現在の上記3河川の流路は、この時の河道整備により概ね固定されたものである。
その後、昭和33 年からは、瀬戸川、朝比奈川を中心に河道改修事業に着手し、整備を行ってきた。
また、昭和57 年9月12 日の台風18 号により、瀬戸川本川及び支川の各所で堤防の破堤、欠壊、並びに溢水が生じ、その被害は瀬戸川下流部で浸水家屋2,825 戸にも及んだ。そのため、昭和57年から昭和61 年にかけて、瀬戸川本川の河口から1,700m、支川朝比奈川、梅田川についてはそれぞれ、合流点から300m、1,200mの区間で重点整備を行った。その後、平成9年の河川法改正に伴い、瀬戸川水系河川整備基本方針を平成12 年11 月に策定し、瀬戸川の基準地点当目大橋における基本高水のピーク流量を1,900 ㎥/s とし、計画高水流量は基本高水のピーク流量と同じ1,900 ㎥/sとする計画とした。
また、石脇川において、頻発する内水被害を解消するための対策を行ってきた。
なお、瀬戸川河口から1,200mの区間において、当時の地震被害想定に基づき予想される東海大地震の津波に備え、昭和54 年度より堤防の嵩上げを実施するとともに、支川の岡部川、吐呂川、谷稲葉川で改修を実施してきた。
なお、東日本大震災を踏まえた静岡県第4次地震被害想定(平成25 年)では、発生頻度が比較的高く、発生すれば大きな被害をもたらす「施設計画上の津波」※1 と、発生頻度は極めて低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす「最大クラスの津波」※2の二つのレベルの津波が設定されており、瀬戸川では「施設計画上の津波」は河川内を約2km 以上遡上するとともに、「最大クラスの津波」では、河川及び海岸堤防を越流し、沿岸部で最大約140ha 以上が浸水すると想定されている。
※1 施設計画上の津波:静岡県第4次地震被害想定で対象としている「レベル1の津波」
※2 最大クラスの津波:静岡県第4次地震被害想定で対象としている「レベル2の津波」