庵原川水系

庵原川,山切川

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治水に関する現状と課題

(1)洪水対策

庵原川、山切川では、平成2年8月の台風11号において、流下能力が低かった庵原川中流部、支川の山切川下流部で家屋浸水75戸、浸水面積45haの被害が生じたことを契機に、平成6年から年超過確率1/5の流量に対する暫定改修(護岸は年超過確率1/50の流量に対する将来形で施工)を進め、庵原川では、JR東海道線を除いた山切川合流点までの区間が完了し、山切川では、統合2級河川整備事業、総合流域防災事業など、各種事業により治水安全度の向上を目指している。
これまでの整備により、近年は庵原川、山切川の外水氾濫による浸水被害は発生していないもの、依然として治水安全度の低い箇所がある。また、下流域には東名高速道路をはじめ、東海道新幹線、国道1号など重要基幹交通が横断しており、自然災害が発生し、これらの交通が遮断した場合の社会的影響は大きく、氾濫シミュレーション結果からは人口や資産が集積している下流域や清水区の市街地まで氾濫流が広がることが予測されている。そのため、治水施設を着実に整備し、適正な維持管理に努める必要がある。
また、流域内では新東名高速道路関連のジャンクションやインターチェンジなどが整備されたことから、今後の流域内の土地利用の進展に伴う流出量の増加が懸念されるほか、上流域では樹園地を対象とした基盤整備事業(県営畑地帯総合整備事業)が展開され、優良農地が確保される一方、人口減少や第1次産業人口の減少などに起因して山林の荒廃の増加が懸念される。そのため、河川管理の視点から適正な土地利用や森林の管理、土砂災害対策など、他機関との連携による流域が一体となった総合的な治水対策を推進する必要がある。

 
(出典:庵原川水系河川整備計画)

(2)津波対策

東日本大震災を教訓とし、南海トラフ巨大地震の被害想定を踏まえた静岡県第4次地震被害想定(平成25年)では、発生頻度が比較的高く、発生すれば大きな被害をもたらす「計画津波※1」と、発生頻度は極めて低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす「最大クラスの津波※2」の二つのレベルの津波が設定されており、庵原川では「計画津波」は河川内を約0.7km以上遡上するとともに、「最大クラスの津波」では、河川および海岸堤防を越水し、沿岸部で最大約20ha以上が浸水すると想定されている。

※1 計画津波:静岡県第4次地震被害想定で対象としている「レベル1の津波」
※2 最大クラスの津波:静岡県第4次地震被害想定で対象としている「レベル2の津波」

 計画津波(レベル1)による浸水想定区域図【安政東海型地震】
計画津波(レベル1)による浸水想定区域図【安政東海型地震】(出典:庵原川水系河川整備計画)