治水事業の沿革
庵原川流域は、古くから洪水による被害を受けてきた歴史があり、そのことは流域内にある千日原、流田、下川原、川久保などの地名からも伺うことができる。 戦後最大の被害をもたらした洪水は昭和49年7月7日の七夕豪雨で、私鉄の橋梁が落橋したほか、破堤により1,400戸を超える家屋被害が発生した。このほか、平成2年8月の台風11号では、支川の山切川を中心とした外水氾濫により75戸の家屋被害が発生するなど、昭和49年以降14件の浸水被害が記録されている。 また、近年では平成10年9月の台風5号により内水に起因した家屋浸水被害が発生しており、平成26年10月の台風18号においても内水に起因した家屋浸水被害が発生している。 津波被害に関しては、安政元年(1854年)に発生した安政東海地震により、巴川河口東岸部の「向島」の浜を乗り越えて湊を襲い、停泊していた廻船や漁船の大破など、甚大な被害をもたらした記録が残っている。 これまでに、静岡県第3次地震被害想定(平成13年)に基づく津波対策として、堤防の嵩上げが実施された。
浸水状況(出典:庵原川水系河川整備計画)
近年の浸水実績(出典:庵原川水系河川整備計画)
庵原川では、治水事業の沿革は、昭和23年9月のアイオン台風による出水を契機に昭和23年度より中小河川改修事業に着手し、昭和28年度に一次改修が完了した。その後、平成2年8月の台風11号において、庵原川中流部、支川の山切川で家屋浸水75戸、浸水面積45haの被害が生じたことを契機に、平成6年度に小規模改修事業により事業に着手し、床上浸水対策特別緊急事業、総合流域防災事業等による改修を進めている。
現在、庵原川では概ね年超過確率1/5の流下能力が確保されているものの、平成26年10月の台風18号など、近年も浸水被害が発生していることから、十分な治水安全度を有しているとはいえない状況である。
治水事業の沿革(出典:庵原川水系河川整備計画)