基本情報
水系名
河津川水系(かわづがわすいけい)
河川ごとの紹介
河津川(かわづがわ)
[延長]9,500m
[起点]荻乗川合流点
[終点]海に至る
大鍋川(おおなべがわ)
[延長]4,100m
[起点]静岡県賀茂郡河津町大濁字奥川632番の2地先の新田橋
[終点]河津川への合流点
河津谷津川(かわづやつがわ)
[延長]2,780m
[起点]静岡県賀茂郡河津町谷津字湯沢816番の1地先の町道橋
[終点]河津川への合流点
河津川水系流域図
河川及び流域の概要
河津川は、静岡県伊豆半島の河津町を貫流する河川で、天城山脈に位置する天城八丁池(標高1,125m)南方の山中に源を発し、途中、大鍋川、河津谷津川等の支川を合わせて南東方向に流下し、相模湾に注ぐ流域面積80.8km2、総幹川流路延長約16.4kmの二級河川である。
流域はすべて河津町に属し、その約9割が山地である。河津川の上流部は渓谷や滝を形成し、山地を流れる渓流的な様相を見せるなど、風光明媚な箇所が多く存在している。一方、河津川の上流4km付近に位置する峰橋付近を境とした下流域は、三方を山地に固まれた沖積低地が河川沿いに僅かに形成されており、その中央を河津川が貫流し、相模湾に注いでいる。また、流域の一部は富士箱根伊豆国立公園に指定され、県内でも有数の自然豊かな地域となっている。
流域の地質は、約1,600万年前、海底火山の噴火によってできた湯ヶ島層群の上に白浜層群が覆い、さらに60~70万年前、天城火山の噴出物が積み重なって形成された。その後、河津川の左岸域の天城火山のふもとが噴火し、玄武岩質溶岩やスコリア等の噴出物により鉢ノ山が形成された。そのため、流域の西部である右岸域は固結堆積物が大半を占めており、左岸域では火山性岩石が分布している。また、河川沿いの僅かな低地には、砂礫を主とする未固結堆積物が分布している。
流域の土地利用は、山地が91%を占め、水田・畑・原野が6%、市街化された区域は3%である。市街地の大部分は、峰橋より下流部の河津川に沿って形成されており、河津町の市街化された区域の70%程度がこれにあたる。
流域の気候は、太平洋沿岸地域に特徴的な温暖多雨の海洋性気候に属するため、平均気温は17℃と全国的に温暖な静岡県の中でもとりわけ温和な気候である。年平均降水量は3,217mm程度(天城(県)観測所)であり、全国平均の1,537mm(H20全国平均)と比較して倍程度の多雨地域である。これは、季節風と北にそびえる天城連山の影響によるところが大きく、前線性や台風性の降雨も河津川流域が位置する伊豆半島の東部に集中する傾向にあるためである。
流域の人口は、昭和30年から平成19年までの53年間で、減少傾向にあるが世帯数は増加傾向にあり、核家族化が進行している状況にある。平成23年2月時点の人口は8,134人、世帯数は3,308戸となっている(河津町HP)。また、年齢別の構成比を昭和45年と平成19年で比較すると、年少人口(0~14歳)が23%から12%、老齢人口(65歳以上)が12%から32%となり、少子化、高齢化が進展している。
流域の産業は、海、山、川、滝、温泉という自然環境に加えて、古くからの文化財の点在、河津町の重要な観光資源である河津桜等の観光資源に恵まれた土地であることから、サービス業、卸小売業がその多くを占めている。また、温暖な気候と豊かで、綺麗な水にも恵まれていることから、花弁、みかん、わさび等の郷土の特徴を生かした農業が進められている。平成17年の就業者分類別の就業人口の割合は、第1次産業、第2次産業それぞれが15%程度、第3次産業が70%程度であり、第3次産業の就業人口がトップとなっている。
流域をとりまく交通網は、下田と伊東を結ぶ伊豆急行線が通り、伊豆半島唯一の鉄道路線となっている。道路網は、下田市・河津町と伊東・熱海方面とを連絡する国道135号、下田市街地から河津川中流部を経て天城峠を越える国道414号等が整備されている。さらに、河津川沿いに主要地方道下佐ヶ野谷津線、大鍋川沿いに県道湯ヶ野松崎線が整備されている。また、伊豆縦貫自動車道の計画が事業化されており、開通による交通アクセスの向上とそれに伴う流域の発展が期待されている。
河川の整備の基本となるべき事項
1.基本高水並びにその河道への配分に関する事項
基本高水のピーク流量は、既往の洪水や河川の規模、流域内の資産・人口等を踏まえ、県内の他河川とのバランスを考慮し、概ね50年に1回発生すると想定される降雨による洪水を対象として、基準地点峰大橋(3.949k)において920m3/sとし、これを河道へ配分する。
河川名 | 基準地点 | 基本高水のピーク流量(m3/s) | 河道への配分流量(m3/s) |
河津川 | 峰大橋 | 920 | 920 |
2.主要な地点における計画高水流量に関する事項
計画高水流量は、基準地点峰大橋(3.949k)において、基本高水のピーク流量と同じ920m3/sとする。
計画高水流量配分図(出典:河津川水系河川整備基本方針)
3.主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係る川幅に関する事項
主要な地点における計画高水位と計画横断形に係る概ねの川幅は、以下のとおりとする。
河川名 | 地点名 | 河口からの距離(km) | 計画高水位T.P.(m) | 川幅(m) |
河津川 | 河口 | 0.0 | +5.50※1 | - |
峰大橋 | 3.9 | +23.656 | 45.0 |
T.P.:東京湾中等潮位
※1:計画津波水位
4.主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項
河津川水系全体における既得水利としては、農業・防災兼用用水として約65haのかんがいに利用され、3.143m3/sが慣行水利となっている。
流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関しては、今後さらに、河川の流況等の把握に努め、流水の占用、動植物の生息、生育、繁殖地の状況、流水の清潔の保持、景観等の観点からの調査検討を踏まえて設定するものとする。
(出典:河津川水系河川整備基本方針)