河川環境
庵原川の河川水質については環境基準の類型指定はされていないが、庵原川、山切川における平成16年以降のBOD年平均値は概ね3.0mg/ℓ以下で推移しており、比較的良好な状況である。
生物では、感潮区間を有する下流部では、オイカワやタカハヤなどの淡水魚のほか、砂泥を産卵場とするドジョウ、海水・汽水魚であるスズキやマハゼなどが確認されており、河岸にはススキが優先する中、ヨモギやジュズダマ等が繁茂するなど多様な植生が見られる。瀬淵が連続する上流部では、渓流を好むアマゴやオオヨシノボリなどの魚類のほか、河床の堆積州にはクレソンの群生が確認されるなど、箇所ごとの状況に応じた多様な動植物の生息・生育・繁殖環境が形成されている。また、庵原川は、近隣の興津川や波多打川とともに、清水の代名詞であるシロウオが遡上・営巣し、産卵する数少ない河川の一つとなっており、遡上量が多いことで知られる興津川で河口閉塞が発生した場合、庵原川と波多打川が年魚であるシロウオの生命線になることから、シロウオの大敵となる濁水を生じさせる河川工事は同時期に行わないよう配慮が必要である。
なお、河道には河川改修に伴うコンクリート護岸の整備や落差工等により、魚類等生息生物の移動等が制限されている箇所も見受けられるため、河川整備の実施に際しては、河川上下流の連続性や河川周辺との繋がりの確保など、自然環境への配慮が求められる。