治水に関する現状と課題
(1)洪水対策
波多打川では、昭和20 年代の一次改修、及び昭和45 年に完成した興津埠頭建設に伴う河口部の整備以降、主な改修事業は行われていない。また、流域の浸水被害は、昭和49 年以降、平成10年9月に内水による家屋浸水被害が1戸発生した記録が残っているのみで、豪雨等による家屋の浸水被害は発生していない。
しかし、波多打川は、下流域には東名高速道路をはじめ、東海道新幹線、国道1号など重要基幹交通が横断しており、自然災害の発生による交通遮断は社会的影響が大きくなることから、治水施設の適正な維持管理に努める必要がある。
また、流域近傍で新東名高速道路関連のジャンクションやインターチェンジなどが整備されたことから、今後の流域内の土地利用の進展に伴う流出量の増加が懸念されるほか、上流域で樹園地を対象とした基盤整備事業(県営畑地帯総合整備事業)が展開され、優良農地が確保される一方、人口減少や第1次産業人口の減少などに起因して山林の荒廃の増加が懸念される。そのため、河川管理の視点から適正な土地利用や森林の管理、土砂災害対策など、他機関との連携による流域が一体となった総合的な治水対策を推進する必要がある。
(出典:波多打川水系河川整備計画)
(2)津波対策
東日本大震災を教訓とし、南海トラフ巨大地震の被害想定を踏まえた静岡県第4次地震被害想定(平成25年)では、発生頻度が比較的高く、発生すれば大きな被害をもたらす「計画津波※1」と、発生頻度は極めて低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす「最大クラスの津波※2」の二つのレベルの津波が設定されており、波多打川では「計画津波」は河川内を約1km以上遡上するとともに、「最大クラスの津波」では、河川及び海岸堤防を越水し、沿岸部で最大約10ha以上が浸水すると想定されている。
※1 計画津波:静岡県第4次地震被害想定で対象としている「レベル1の津波」
※2 最大クラスの津波:静岡県第4次地震被害想定で対象としている「レベル2の津波」
計画津波(レベル1)による浸水想定区域図【5地震総合モデル】(出典:波多打川水系河川整備計画)