治水の現状と課題
(1)水害の状況
梅田川流域は、これまで数多くの浸水被害を受けてきた。昭和46年8月の台風23号による降雨で時間最大雨量41mm、24時間雨量241㎜を記録し、床下浸水207戸、床上浸水12戸の被害を受けた。また、昭和49年7月の台風8号による降雨で時間最大雨量64mm、24時間雨量243mmを記録し、床下浸水1,252戸、床上浸水323戸の被害を受けた。さらに平成20年8月の豪雨では、時間雨量最大62mm、24時間雨量233mmを記録し、床下浸水33戸、床上浸水12戸の被害を受けた。
梅田川流域における主要洪水一覧(出典:梅田川水系河川整備計画)
浸水実績図(出典:梅田川水系河川整備計画)
浸水状況写真(出典:梅田川水系河川整備計画)
(2)地震・津波の状況
愛知県では、これまでおおよそ 100 ~150 年周期で発生している南海トラフを震源とした海溝型地震により、幾度も地震・津波被害に襲われている。近年では、江戸時代の宝永地震(1707 年、M8.6)、安政地震(1854 年、M8.4)や昭和東南海地震(1944 年、M7.9)、昭和南海地震(1946 年、M8.0)などの記録がある。
代表的なものでは、安政地震で、渥美表浜で 8~10m、知多半島西岸で 2~4m の津波が来襲したとされている。現在、昭和東南海地震、昭和南海地震からすでに相当の期間が経過しているため、その発生の切迫性が非常に高まっている。
また、三河地震(1945年、M6.8)など内陸型の地震による甚大な被害も発生している。
(出典:梅田川水系河川整備計画)
(3)河川整備状況
梅田川水系では昭和63年から中小河川改修事業に着手し、改修が進められており、梅田川本川では、平成28年度時点において、河口から浜田川合流点付近(4.1k)及び上流の静岡県区間の改修が完了している。
支川では、内張川、西の川、浜田川については整備が進んでいる
河道改修状況(出典:梅田川水系河川整備計画)
(4)治水の現状と課題
梅田川は、愛知県区間では、河口から浜田川合流点付近(4.1k)まで1/10年確率規模に対応した河道改修が行われているが、それより上流区間については、河床高が高く流下能力が不足しており、近年においても浸水被害が発生している。静岡県区間においては、1/5年確率規模に対応した改修が行われている。支川については、整備が進められてきた西の川、浜田川は1/5年確率規模に対応した流下能力を満足しているが、その他支川については、1/5年確率規模に対応した流下能力が不足している。
こうしたことから、梅田川及び支川の流下能力不足箇所について河道改修を実施し、治水安全度の向上を図る必要がある。
治水の現状と課題(出典:梅田川水系河川整備計画)
梅田川未改修区間の状況(出典:梅田川水系河川整備計画)
高潮対策については、昭和28年台風13号による高潮被害を契機として既定計画による整備(計画高潮堤防高T.P+4.0m)が実施されてきた。その後、平成26年度の「海岸保全基本計画」の見直しに伴い、梅田川の計画高潮堤防高をT.P.4.20mに変更し、これに対応した整備が今後さらに必要となる。
地震・津波対策については、堤防の耐震点検の結果、施設計画上の津波等の水位に対して、地震による液状化を想定した沈下後の堤防高が低くなる箇所はなく、津波に対して所定の高さを有している。
梅田川高潮対策区間の状況(出典:梅田川水系河川整備計画)
内張川高潮対策区間の状況(出典:梅田川水系河川整備計画)