栃山川水系

栃山川,成案寺川,東光寺谷川,木屋川,黒石川

TOP川の紹介 > 水質・水量

水量・水質

水量

栃山川流域の水を取り巻く環境は、大井川用水に大きく依存しているといえます。栃山川流域の自流は、流域の約1割しかない東光寺谷川上流域のわずかな山地部(集水面積5.5平方キロメートル)で期待できるのみです。また、大井川の運んだ榛層の堆積物の上に位置している栃山川流域の河川は流水の伏流化が見込まれます。一方、平成14年の栃山川の流量は、全国一級河川の平均維持流量と比べて著しく多くなっています。これは、灌漑(かんがい)用水として栃山川には期別に3.95~10.41立方メートル/秒が導水されていることによる影響であるといえます。
現在、栃山川水系における各河川の河川環境は大井川用水の流入により成り立っていると捉えることができ、大井川からの水の恵みが河川における動植物の多様な生育・生息空間を支え、地域の水辺環境が形づくられ、河川景観を形成しています。大井川用水は、流域の農業基盤を支えるだけでなく、水環境の創出において広く地域に貢献しています。しかし、施設の保守点検等の理由により、栃山川の起点にあたる栃山制水門での一時的な供給水量の減少や流入の停止によって時として瀬枯れが発生することや、期別流量の切り替えに伴う流量の急激な増減など、自然環境にとっては流量の変動が大きいことが課題ともいえます。

水質

栃山川水系で、水質についての環境基準が設定されている河川は、栃山川と黒石川の2河川です。両河川は全川にわたりC類型(BOD5mg/L以下)の指定であり、水質基準点は、栃山川が成案寺川合流点付近にある一色大橋(0.1km)、黒石川が一般県道静岡焼津線の黒石橋(0.7km)となっています。BOD75%値は、両観測地点ともに近年はほぼ基準値(5mg/L以下)を満たしているものの、黒石川では20年程前に比べ平均的に数値が上昇しており、流域の急速な市街化による影響が生じているものと推測されます。

平成17年10月現在の各市町における汚水衛生処理率は、いずれも県平均を下回っていることから、さらなる水質改善に向け、生活排水処理施設の整備について関係機関に対策を求めていく必要があります。また、栃山川水系の各河川には、灌漑用水を取水するための堰等も多く、増水などによりゴミなどが流出し、堰等の施設に滞留することがしばしば見受けられます。ゴミの流出は、取水上の機能障害やうるおいのある河川景観を損なうことから、水質を含めた水環境の改善について、流域一体となって意識向上を図っていく必要があります。