大井川水系

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自然環境

自然環境の概要

大井川はその水源を赤石山脈(南アルプス)の間ノ岳(標高3,189m)、赤石岳(標高3,120m)等の日本の屋根ともいわれる3,000m級の山々に発しています。流域の地形は大部分が山地で、山地から開けた扇状地がそのまま駿河湾に達しています。大井川流域の植生は、南アルプスの高山植物から、低地にかけてのツガ、ブナ、シイ、カシと標高の変化につれて多様な植生を形成しています。
大井川流域は、起伏の著しい山地と流水による激しい侵食から渓谷が形成され、接阻峡や寸又峡といった峡谷景観を作り出している上流域、隆起作用と下刻作用により「鵜山の七曲」に代表される穿入蛇行が発達し、河岸段丘が形成されている中流域、扇状地地形の平野部の下流域に区分されます。

上流域

大井川ダムより上流の渓流景観が形成される区間を上流域とします。
大井川の上流域は、標高1,000m~3,000mの南アルプスの急峻な山地を、深いV字谷を刻みながら、流下する山付きの渓谷美に富む渓流環境が形成されています。アカシデ・イヌシデ群落、イヌブナ群集、スギ・ヒノキ植林等が分布しています。

中流域

扇状地の扇頂付近から上流の大井川ダムまでの区間を中流域とします。
周辺は標高500m~1,000mの山地で、河川は穿入蛇行を繰り返し「鵜山の七曲り」と呼ばれる独特の景観を形成し、瀬や淵、礫の河原や河岸段丘も形成されています。
スギ・ヒノキ植林等やコナラ群落が分布しています。

下流域

扇状地の扇頂付近から河口部までを下流域とします。
周辺は標高500m以下で、扇状地区間で複列砂州の網状の流路となり、広い砂礫の河原を形成する河川環境を形成しています。
河川周辺は市街化が進み、住宅地や工場等が広がっています。

特徴的な河川景観

大井川上流域は接岨峡や寸又峡に代表されるような深い峡谷や井川湖や畑薙湖に代表されるようなダム湖が連続しています。周辺の山々にはスギやヒノキ等の人工林と自然林が混在し、南アルプス国立公園や奥大井県立自然公園の一部となっています。
中流部は鵜山の七曲りに代表される穿入蛇行(河川が屈曲した深い谷をうがって流れる状態)となっています。また両岸の河岸段丘は茶畑がならび、川とお茶の景観が特徴的です。
曲流部の高水敷には下流部と同じヤナギ林があり、ここには森林性の鳥(サンコウチョウ、カラ類)が見られます。
大井川の下流部は広い河川敷いっぱいに発達した砂州と網状に流れる水が特徴ある景観となっています。砂州は常に移動し土壌が不安定であるため、植物は生育せず、砂礫と水の空間となっています。しかし、左岸13km、18km、右岸14km、20km、24km付近の高水敷上にはヤナギ林が発達し、水辺の鳥(サギ類)や森林性の鳥(カラ類)を見ることができます。さらに河口付近では多数の鳥類を観察することができます。