志太田中川水系

志太田中川,泉川

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基本情報

水系名

志太田中川水系(しだたなかがわすいけい)

河川ごとの紹介

志太田中川(しだたなかがわ)
[延長]5,600m
[起点]静岡県志太郡大井川町上泉586番地先の東名高速道路橋(静岡県焼津市上泉586番地先の東名高速道路橋))
[終点]海に至る

泉川(いずみがわ)
[延長]5,730m
[起点]静岡県志太郡大井川町上泉325番地先の東名高速道路橋(静岡県焼津市上泉325番地先の東名高速道路橋)
[終点]志太田中川への合流点

志太田中川水系の概要

志太田中川水系は、大井川下流部左岸に広がる志太平野に位置する流域面積約14平方キロメートル、総幹川流路延長約11kmの二級水系です。流域は、藤枝市、焼津市の2市にまたがっており、焼津市上泉を基点とする流れは、大井川左岸に広がる扇状地を南東へ流下し、焼津市高新田で南西方向に向きを変え、焼津市利右衛門地先で同じく焼津市上泉を基点とする泉川と合流して大井川港に注いでいます。

流域の概観の画像流域の概観

河川及び流域の概要

志太田中川は、その源を藤枝市大西町に発し、一級河川大井川の左岸側を流下し、途中、支川泉川を合流しながら、焼津市利右衛門で大井川港に注ぐ流域面積約14km2、幹川流路延長5.6kmの二級河川である。
流域は、大井川の氾濫流により形成された扇状地上に位置するため、山地はなく、地形は大井川から駿河湾に向かって1/300程度の一様な勾配で緩やかに下っており、志太田中川及び泉川の上中流部は、自然堤防に挟まれた旧河道上をこの勾配に従い南東へとほぼ直線的に流下している。また、下流部には海岸線に沿って海岸砂丘と後背低地が形成されており、河川改修以前には、志太田中川は海岸砂丘の北東に位置する準用河川藤守川付近から、泉川は現在の大井川港付近からそれぞれ駿河湾に注いでいた。
流域の地質は、上中流部は大井川の扇状地に堆積した硬砂岩・砂岩を主体とした砂礫に厚く覆われている。下流部には砂層が分布し、砂浜や砂丘地を形成している。
気候は、駿河湾の影響を受け、年平均気温は16.2℃(旧大井川町2001~2005)と温暖である。また、年間降水量は約2,100mm(旧大井川町2001~2005)で全国平均の1,700mmを上回る。
流域の人口は、約1.7万人であり、流域の約8割の面積を占める旧大井川町の人口(約2.3万人)の7割程度である。旧大井川町の人口は、昭和50年の1.8万人から平成12年には約2.3万人と約1.3倍に増加しているものの、近年はほぼ横ばいである。
志太田中川流域は、度重なる大井川の氾濫により集落は自然堤防上などに限られていたが、大井川左岸の連続堤の築造により、江戸時代初期の貞享期(1684~1687年)には大井川の川筋が現在の位置に定まり、今日の集落の原型が形成された。その後、藤枝と相良を結ぶ田沼街道沿いに人家の集積が進み、海岸沿いには漁村が形成されていった。この頃から大井川沿いに圦樋を設け農業用水の取水が始まり、流域に張り巡らされた網目状の水路を伝って志太田中川や泉川に大井川の水が注がれるようになった。
志太田中川流域は日本有数の散居村を形成しており、大井川の氾濫の歴史を伝える「舟型屋敷」や「川除け地蔵」のほか、千年前に始まったとされる大井川の治水を祈願する国指定重要無形民俗文化財の「藤守の田遊び」が受継がれているなど、大井川と極めて密接な関わり合いを持った地域である。
昭和30年代には、大井川用水の整備や土地改良事業が行なわれ、流域の約8割が水田となり、志太田中川水系の河川もかんがい排水事業により現在の河道の位置に固定された。また、昭和50年頃には豊富な湧水を利用した鰻の養殖が盛んに行われ、流域の約6%が養鰻池として造成されるなど、全国有数の養鰻産地として栄えた。
その後、水田や養鰻池など多くの内水面を抱えた流域も、流域を横断する東名高速道路や国道150号及び河口の大井川港などの交通網の整備に伴い、養鰻池跡地を中心に大規模な工場が進出し始めた。現在では、市街化が急激に進展し、土地利用は市街地54%、畑10%、水田35%、林地(海岸林)1%となっている。今後も、近傍に富士山静岡空港が整備されたことで、地域計画には陸・海・空の交通の利便性を活かした積極的な産業振興が盛込まれるなど、流域の開発がさらに進むものと予想される。

河川の整備の基本となるべき事項

基本高水並びにその河道への配分に関する事項

基本高水のピーク流量は、既往の洪水や河川の規模、流域内の資産・人口等を踏まえ、県内の他河川とのバランスを考慮し、年超過確率1/30規模の降雨による洪水を対象として、基準地点田中新橋において90m3/sとし、これを河道へ配分する。

 基本高水のピーク流量等一覧表
基本高水のピーク流量等一覧表(出典:志太田中川水系河川整備計画)

主要な地点における計画高水流量に関する事項

計画高水流量は、基準地点田中新橋において基本高水のピーク流量と同じ90m3/sとし、泉川等の支川の流量を合わせ、主要地点平安橋において230m3/sとする。

 志太田中川計画高水流量配分図
志太田中川計画高水流量配分図(出典:志太田中川水系河川整備計画)

主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係る川幅に関する事項

主要な地点における計画高水位と計画横断形に係る概ねの川幅は、以下のとおりとする。

 主要な地点における計画高水位、川幅一覧表
主要な地点における計画高水位、川幅一覧表(出典:志太田中川水系河川整備計画)

主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項

志太田中川水系では、その流水が農業用水として流域内のかんがいに利用されてきた。
流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関しては、今後さらに、河川の流況等の把握に努め、流水の占用、動植物の生息、生育、繁殖地の状況、流水の清潔の保持、景観等の観点からの調査検討を踏まえて設定するものとする。

 志太田中川水系図
志太田中川水系図(出典:志太田中川水系河川整備計画)