文化財
大井川流域の文化財等
大井川は、かつての駿河、遠江の国境であり、江戸時代には東海道の難所であったため川越制度がしかれ、独自の文化を形成してきました。そのため流域には貴重な史跡や独自の文化が現在まで伝承されてきました。
このようなことから、大井川流域には多くの文化財が存在し、このうち国、県指定の史跡・名勝・天然記念物は14件、文化財は34件が存在します。
駿河神楽
大井川流域や隣接する安倍川流域の上流部では神楽が盛んです。これらの神楽を総称して、駿河神楽と呼び、現在は約30箇所で伝承されています。
儀式の基本である五方の取り方などの違いから“安倍・井川型”と“藁科・川根型”の二つに分けられます。大井川流域では、梅津、徳山、青部、田代、みさき、平栗、崎平、横岡八幡、笹間、井川、寸又神楽などが伝承されています。
平田のたるながし
「平田(ひらんだ)のたるながし」は、川根本町の接岨地区に伝わる夏の恒例行事として、同町の大井川長島ダムで行われます。「たるながし」は麦わらを巻いた樽に紙幣や供物をのせ、松明をつけて大井川に流すもので、疫病退散と大井川の安全、恵みを祈願して数百年前から行われています。
ヤマメ祭り(静岡市指定無形文化財)
ヤマメ祭りは、正式には十六夜祭といわれ、諏訪神社例大祭に伴って伝承される特殊神饌儀礼(しんせんぎれい)です。妙神谷と呼ばれる禁漁地で釣られたヤマメが粟漬け(鮨の一種)され、神前に饗されるところから、「ヤマメ祭り」と呼ばれるようになりました。
小河内のヒヨンドリ
ヒヨンドリの起源は定かではありませんが、イセソーホーなる人物が曲物の製作技術とともにヒヨンドリ行事を伝授したと伝えられています。
元旦の早朝、頭屋(公民館)に集合した人々が提灯を片手に村内を1周し、かつては村で唯一の共同の水場であった井戸に向かいます。頭屋と井戸の前では独特の節回しに特徴のあるヒヨンドリの役歌を音頭取りが納められます。歌の内容は、日伏せを中心に村の安泰、家内安全を祈るものです。ヒヨンドリと称する行事は、大井川、天竜川流域を中心に様々な形で伝承されてきた正月行事です。
徳山の盆踊り(国指定重要無形民俗文化財)
徳山の盆踊りは、鹿ン舞(しかんまい)、ヒーヤイ踊り、狂言の3部作で構成されています。
「鹿ン舞」は、農作物を荒らす獣を追い払い五穀豊穣を願う古舞で、少年がオス1頭メス2頭の鹿に扮して踊ります。
「ヒーヤイ踊り」は、京の舞妓姿で歌舞伎に通ずる踊りで、これに狂言が加わります。この形態は古歌舞伎踊りの初期形態を伝承し、動物仮装が添えられ、地域性にも富んでいます。
帯祭り(島田市)
300年前の元禄八年に始まった大井神社の祭式神事で、寅、巳、申、亥年の3年に一度、御神輿の渡御とそれに先立つ大名行列(県指定無形民俗文化財)が、10月中旬の3日間開催されます。
流域の文化
大井川川越祭り(島田市)
江戸時代、大井川では架橋も渡船も許されず、大井川両岸の島田宿と金谷宿には川庄屋が置かれ、十組の川越人足延べ550人ほどが川越しの任にあたっていました。その往時の賑やかだった川越しを再現したお祭りです。
大井川花火大会(島田市)
大井川をはさんだ旧島田市と旧金谷町の両岸から同時に打ち上げられる花火大会で、双方の花火の炸裂音はあたりに響き渡り、また両方の花火を同時に鑑賞できます。
藤守の田遊び(大井川町)
藤守の田遊びの伝承由来は古く、遠く平安時代に大井川の水霊を鎮守するところから始まったとされています。
田遊びは「お能」「わざおぎ」とも呼ばれ、また神社の記帳には「猿田楽」とされていて、この古風な呼び方こそ、古代・中世の農耕儀礼であった田楽芸能の伝播と定着を示すものといえます。