水系と流域の概要
狩野川水系は流域面積852平方キロメートルの一級水系で、流域6市3町(沼津市、三島市、裾野市、御殿場市、伊豆の国市、伊豆市、清水町、函南町、長泉町)の人口は約64万人(平成12年)となり、県全体の約17%に相当します。
狩野川は、伊豆半島中央部に位置する伊豆市の天城山系に源を発し、大見川等の支川を合わせながら北流し、田方平野に出て伊豆の国市古奈で狩野川放水路を分派した後、丹那山系や箱根山系等を源とする来光川、大場川等を合わせ、さらに沼津市で富士山麓より南下する流域面積最大の支川黄瀬川を合流し、そこから西へ転じて駿河湾に注ぐ、幹川流路延長約46kmの一級河川です。
伊豆市にある修善寺橋から河口までの約25km区間の狩野川本川と、狩野川放水路及び柿田川の全区間、黄瀬川、大場川、来光川、柿沢川の各下流一部区間を国土交通省が管理し、それ以外の指定区間を県が管理しています。
狩野川の中部に位置する流域は、県管理河川が21河川あり、その流域面積の計は226平方キロメートルで、狩野川水系全体の27%に相当します。
当HP上では、狩野川水系において富士山麓黄瀬川地域を「北部」、中流田方平野地域を「中部」、伊豆天城地域を「南部」と設定しました。
狩野川区画分け位置図
主要支川の概要
狩野川中部には、県管理河川が21河川あり、狩野川の一次支川として下流から順に境川、大場川、来光川、洞川、韮山古川、宗光寺川、戸沢川及び深沢川の8河川があります。
また県管理区間の総延長は約86kmとなり、大臣管理区間延長の2倍を超えています。全般的に山地は急峻で、山地から直ぐに田方平野となるため、洪水が短時間で平野部に到達します。
また平野部では、洪水時に狩野川などの水位が上昇して、支川の洪水や内水が排水されにくくなります。狩野川台風(昭和33年)による災害の復旧が進んだ昭和30年代後半以降、資産が多い田方平野北側の扇状地の河川を手始めに河川改修が進められました。
境川
境川は、三島市幸原付近に源を発し、火山性扇状地を蛇行しながら南流して清水町的場地先で狩野川の8.8km地点右岸に合流する河川です。
狩野川合流点には国土交通省により樋管及び排水機場が整備されています。かつての境川は、江戸中期までは幸原の青木橋付近で大場川から分かれた派川でしたが、大地震や大洪水(1659年)によって主流が大場川に移ったと伝えられており、現在では大場川の徳倉堰から取水した農業用水のみが流入しています。
また、境川の名は、かつてこの川と大場川の上流部が「伊豆」と「駿河」の境となっていたことに由来します。河道は、市街地を流れる上流部を除いて、平常時でも湧水の影響により流量が豊富です。中流部には、湧水を水源とする「丸池」があり、古くから灌漑(かんがい)に利用されてきたほか、丸池の周辺では湧水を利用した養魚業が営まれています。中流から下流にかけては、川沿いに古くから集落が形成されており、生活に必要な水を得やすかったことが覗えます。
大場川
大場川は、箱根山系の山伏峠(標高1,035m)付近に源を発し、箱根山西麓を流下して裾野市茶畑地区の盆地部で泉川を合わせて南に向きを変え、山裾に沿って沢地川や三島山田川などの左支川を合わせながら丘陵地を流下し、大場橋付近から直轄区間(昭和37年12月編入)となって御殿川や函南観音川を合わせながら田方平野を流下して、函南町塚本地先の狩野川12.0km地点右岸で合流する河川です。
河道は、三島市と函南町の殆どの区間で市街地と接しており、特に三島駅周辺では都市河川の様相を呈しています。
また、大場川の上流部は地元で「境川」とも呼ばれており、その名の由来は前述の境川と同様です。
来光川
来光川は、箱根山系の鞍掛山(標高1,004m)に源を発し、山地を南西に流下し函南冷川を合わせた後に扇状地を流下し、田方平野に出て仁田橋地点から直轄区間(昭和37年12月編入)となり、丹那盆地から流下する柿沢川を合せて函南町肥田地先の狩野川14.2km地点右岸で合流する河川です。
河道は、扇状地区間より下流が有堤部となっており、下流部では市街地が迫っています。源流部には函南原生林などの森林があり、河川の流量は豊かで流況も安定しています。
洞川
洞川は、伊豆の国市谷戸地区の低山地に源を発し、田方平野を北流して同市四日町地先の狩野川16.0km地点右岸で合流する小河川です。
流域は、「守山の開削」以前の狩野川が流下していた低平地が主ですが、狩野川台風の頃までは現在の韮山古川流域の大部分が洞川へ流入していました。河道は掘り込みで、県管理区間から韮山駅付近まで市街地に接しています。
また、狩野川増水時には自然排水が困難となる内水河川で、狩野川合流点には国土交通省により樋管及び排水機場が整備されています。
宗光寺川
宗光寺川は、伊豆の国市田中山地区の標高400m程度の山地に源を発し、渓流と谷底平地を流下して、平地部で準用河川谷や戸川が合流して直ぐに同市宗光寺地先の狩野川20.0km地点右岸で合流する小河川です。
河道は、ほぼ全域で掘り込み河道となっており、所々で集落に接しています。また、狩野川増水時には自然排水が困難となる内水河川であり、狩野川合流点には国土交通省により樋管及び排水機場が整備されています。
戸沢川
戸沢川は、伊豆の国市の西方の低山地に源を発し、谷底平地を東流して旧伊豆長岡町の中心市街地付近から南へ転じて緩勾配となり、普通河川長岡川や長瀬川を合せて市街地から水田地帯へ抜け、同市小坂地先の狩野川21.3km地点左岸で合流する小河川です。
河道は、中流部では温泉町として発達した市街化区域の中を掘り込み河道で流下し、下流部では集落が点在する田園地帯を築堤河道で流下します。
また、狩野川増水時には自然排水が困難となる内水河川であり、狩野川合流点には国土交通省により樋管及び排水機場が整備されています。
狩野川航空写真