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糸川

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治水事業の沿革と現状

糸川は、これまでに豪雨や台風による風水害に見舞われたという記録はないものの、中上流部は河床勾配が1/20以上と急流なため、昭和28年から昭和36年の間に砂防指定地に指定され、土砂災害の防止を目的とした砂防堰堤や流路工が整備されている。
河川改修に関しては、災害復旧事業や県単独事業により施設整備が行われてきた。今後の気候変動に伴う豪雨の激化により、市街化が進み人口や資産等が集中する沿川においては、河川の氾濫や土砂災害が発生した場合には大きな被害となることが懸念される。
糸川流域を含む熱海地区における津波被害に関しては、元禄16年(1703年)に発生した元禄地震により、沿岸部に高さ7mから29mの津波が到達し、住宅500戸のうち10戸程度しか残らなかったとの記録が残っている。また、大正13年(1923年)に発生した関東大地震では、6mから9mの津波により、家屋162戸が流出し、死者・行方不明者92人との記録が残っている。
糸川流域の沿岸部では、津波・高潮対策として一部の海岸防潮堤がT.P.+6.65mで整備されているが、河口部は開口部となっている。また、東日本大震災を踏まえた静岡県第4次地震被害想定(平成25年)では、発生頻度が比較的高く、発生すれば大きな被害をもたらす「レベル1の津波」と、発生頻度は極めて低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす「レベル2の津波」の二つのレベルの津波が設定されており、糸川では、「レベル1の津波」は河川内を約0.4km以上遡上するとともに、「レベル2の津波」では、河川護岸及び海岸堤防を越流し、熱海市の沿岸部で最大約19ha以上が浸水すると想定されている。