青野川水系

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治水事業の沿革と現状

青野川下流部はかつて下賀茂温泉付近(現存の加畑橋付近)まで深い入江であった。
ここは大湊、鯉名の湊と呼ばれた良港で地場産品を積み出す水運の要衡として栄えていた。元禄16年(1703年)及び同17年の大地震により青野川下流域一体が約3m隆起し、入江で、あった部分が陸地となって現在の地形が形成された。かつての青野川は川幅も狭く蛇行河川となっていたため、下賀茂付近では毎年のように水害が発生してきた。
記録に残る過去の著名な洪水被害としては、昭和33年9月の狩野川台風、昭和43年7月の台風4号、昭和50年10月の低気圧前線、昭和51年7月の梅雨前線等の豪雨による被害がある。特に、昭和51年7月の集中豪雨では、河口から上流約8kmのほぼ全区間において越水が生じ、浸水面積236ha、浸水家屋879戸にのぼる多大な被害が発生した。
これらを受けて、青野川では昭和43年より抜本的な改修に着手し、さらに、昭和51年の被害を契機として河口から石井地区までの約6.3km区間において重点的に実施してきた。加えて、現在までに河口から約600mの区間において、これまでの想定に基づく津波対策として、堤防の嵩上げが完了している。一方、石井地区より上流部の改修は遅れており、近年においても平成3年、平成5年と内水、越水による被害が発生し、さらなる治水事業が望まれている。
その後、平成9年の河川法改正に伴い、青野川水系河川整備基本方針を平成14年4月に策定し、青野川の基準地点前原橋における基本高水のピーク流量を650m3/sとし、計画高水流量は、基本高水のピーク流量と同じ650m3/sとする計画とした。
東日本大震災を踏まえた静岡県第4次地震被害想定(平成25年)では、発生頻度が比較的高く、発生すれば大きな被害をもたらす「計画津波」※1と、発生頻度は極めて低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす「最大クラスの津波」※2の二つのレベルの津波が設定されており、青野川では「計画津波」は河川内を約4km以上遡上するとともに、「最大クラスの津波」では、河川及び海岸堤防を越流し、沿岸部で最大約110ha以上が浸水すると想定されている。

※1計画津波:静岡県第4次地震被害想定で対象としている「レベル1の津波」
※2最大クラスの津波:静岡県第4次地震被害想定で対象としている「レベル2の津波」

治水の現状と課題

青野川では昭和43年より抜本的な河道改修に着手し事業を進めてきましたが、その途中の昭和51年7月に浸水面積236ヘクタール、浸水家屋879戸にのぼる多大な被害が発生しました。この災害を受けて蛇行河川の直線化や河積の拡大が実施され、現在では河口から石井地区までの約6.3km区間において、昭和51年災害に対応した改修が完了しています。加えて、河口から約600mの区間において、予想される東海地震の津波に備えた堤防の嵩上げが完了し、前田川合流点には耐震水門が建設されました。
一方、青野川本川の石井地区より上流部や二条川、鯉名川、奥山川などの支川では、これまで部分的な改修は行われてきたものの、未だに流下能力の不足する箇所も多く、近年では平成3年、平成5年と内水、越水による被害が発生しており、治水事業が望まれています。また、近年、全国的に局地的な豪雨が続出している中で、計画規模を上回る洪水などが発生した場合でも、被害を最小限に抑える対策が必要となっています。 上流部の鈴野川などの急流河川では、洪水時の流速が非常に速く、洗掘による損傷などの被害が発生しており、対策が必要となっています。
青野川では昭和43年より抜本的な河道改修に着手し、さらに、昭和51年7月の被害を契機として、河口から石井地区までの約6.3km区間において重点的に蛇行河川の直線化や河積の拡大を実施し、現在の流路が整備されました。また、砂防工事も行われるようになり、土砂流出による被災は改善が図られました。

▼鯉名川付近の状況

鯉名川付近の画像 鯉名川付近の航空写真

青野大師生活貯水池(青野大師ダム)

頻発する大雨や、夏季の異常渇水に備えるため、青野川水系の鈴野川に、河川総合開発事業により『青野大師生活貯水池』を建設しました。

青野大師生活貯水池の写真青野大師生活貯水池