過去の水害
天竜川流域の水害
昭和36年6月洪水(中下流部)
昭和36年に発生した洪水では、中流部の浦川・佐久間・横山で最も被害が多く、各地で護岸が崩れたり道路が破損しました。中でも大輪を中心とする約3.5km区間は顕著で、地すべりにより道路が川に押し出されました。
また、浜松市笠井町末島では内水氾濫により18戸が孤立しました。なお、この時の鹿島地点の流量は、8,400立方メートル/秒でした。
昭和44年8月洪水(中下流部)
静岡県西部では、8月5日午前0時頃から風雨が強まり、2時~5時にかけて暴風雨となりました。山間部では、時間雨量50mm内外の強さとなり、日雨量は佐久間で269mmとなりました。
台風は小型でしたが、上陸後も勢力は衰えず、静岡県西方を北上したため、静岡県西部や北部山間部で短時間に大雨が降りました。特に台風に近い県西部の山間部では、がけ崩れや河川の増水による被害が大きくなりました。なお、この時の鹿島地点の流量は、8,700立方メートル/秒で、全壊流失が2戸、床上浸水388戸、床下浸水380戸、浸水面積は1007ヘクタールにもなりました。
安間川流域の水害
安間川における浸水被害は原因の多くが内水によるものです。これらの洪水のうち代表的な洪水としては、昭和49年7月洪水(七夕洪水)、昭和50年10月洪水と平成10年9月洪水があります。
昭和49年7月洪水(七夕洪水)は、東海地方にあった梅雨前線が台風8号の刺激を受けて静岡県内の広範囲に大雨を降らせたもので、浜松測候所では22.5㎜/時の雨量を記録し、安間川流域では浸水面積103.8ヘクタール、床上浸水1戸、床下浸水160戸、一般資産被害額約5千万円の被害が発生しました。
昭和50年10月洪水は台風13号の豪雨によるものであり、49.2mm/時の降雨で浸水面積596ヘクタール、床上浸水25戸、床下浸水756戸、一般資産被害額約3億円の被害となり、安間川流域における浸水被害(家屋数)としては戦後最大となりました。
平成10年9月洪水は、台風7,8号及び秋雨前線によるもので、東海地方を中心に大雨となり、33.0㎜/時の降雨で浸水面積65.4ヘクタール、床上浸水21戸、床下浸水107戸、一般資産被害額約4億円という被害が発生しました。これらの洪水の浸水区域図をみると、東名高速道路下流の長上地区を中心に浸水被害が生じていることが分かります。
この区域は、天竜川の旧河道や低平地に位置し、地盤が低く水はけの悪い地形であるとともに、中流部を中心とした市街地の上流端にあたり、低平地での市街化が被害を深刻化していると考えられます。
一雲済川流域の水害
一雲済川流域は天竜川の氾濫原に位置しており、過去において天竜川の氾濫による被害を受けてきましたが、近年においては、天竜川の河川改修の進捗により天竜川本川からの被害は受けていません。
一方、一雲済川では流下能力の不足により洪水被害が度々発生しており、中でも大きな被害をもたらしたのは、昭和49年7月7日洪水(七夕洪水)と平成10年9月24日洪水です。七夕洪水による降雨は、東海地方の西部にあって停滞気味の梅雨前線が台風8号によって刺激され、静岡県下をすさまじい豪雨域に包み込み、静岡市の雨量観測史上空前の日雨量508mm、磐田消防署豊岡分遣所の総雨量270.5mmを記録しました。
一雲済川流域でも溢水・越水により浸水面積524ヘクタール、床上浸水351戸、床下浸水296戸という甚大な被害に見舞われました。
また、平成10年9月24日洪水においては、本州南岸沿いの秋雨前線と台風7・8号が北上した影響により静岡県全域で雷を伴う激しい雨に見舞われ、総雨量は福田266mm、掛川193mm、浜松137mm、磐田消防署豊岡分遣所195mmを記録しました。
豊岡村(現磐田市)においては、土砂崩れによる民家の全壊や溢水・越水氾濫により豊岡村役場や小学校などの市街地部をはじめとして、浸水面積214ヘクタール、床上浸水28 戸、床下浸水185 戸という甚大な被害に見舞われました。