水系と流域の概要
天竜川は、長野県茅野市の八ヶ岳連峰に位置する赤岳(標高2,899m)を源とし、諏訪盆地の水を一旦諏訪湖に集めています。諏訪湖の釜口水門からは、途中、三峰川、小渋川等の支川を合わせながら、西に中央アルプス(木曽山脈)、東に南アルプス(赤石山脈)に挟まれた伊那谷を経て山岳地帯を流下し、さらに遠州平野を南流し遠州灘に注いでいます。幹川流路延長213km、流域面積5,090平方キロメートルの一級河川です。
天竜川水系図(静岡県内)
安間川と一雲済川の概要
安間川の概要
安間川は、一級河川天竜川の右支川であり、流域面積約21平方キロメートル、河道延長約14kmの一級河川です。
流域の大部分が旧浜松市地区であり、上流部が旧浜北市地区(現浜松市浜名区)です。元亀三年(1572年)の「天龍河図」によると、現在の浜松市浜名区上島付近で天竜川から西へ分派した「小天龍」がさらに東西に分かれており、このうちの東側の派川が現在の安間川であると考えられています。
「小天龍」は1675年頃に分派地点の締切りによって天竜川から分離され、それまで洪水の度に水をかぶって手の付けられなかった氾濫原が徐々に農地に変えられました。島状に点在する微高地は畑・宅地として、その間の網の目のような旧河道は水田として利用され、現在でも原島・北島、石田・新田などの地名として残っています。
また、天竜川合流点から上流約1.2kmの区間はかつての天竜川西派川であり、1951年に天竜川からの分派点が締め切られるまで、この地区の左岸側は天竜川と西派川に挟まれた輪中となっていました。
一雲済川の概要
一雲済川は、静岡県の西部に位置しその源を南アルプス最南端、旧磐田郡豊岡村(現磐田市)北東部の山地に発し、大楽地の谷を南下して天竜川が形成した扇状地の扇頭部を下り、途中で上野部川を併せて天竜川に流入する面積19.68平方キロメートル、流路延長9.97kmの一級水系天竜川の支川です。
一雲済川は、水田からの農業用水の排水と生活排水を受け持つ排水路として整備されてきた河川です。流域の大部分は、旧磐田郡豊岡村(現磐田市)に属し、下流部のごく一部に合併前の旧磐田市北西部が含まれています。また近年では、流域内への各種企業の進出が活発で、天竜川左岸の浜北大橋付近、中流部左岸丘陵地帯の新平山工業団地を中心に多くの工場の進出が見られます。