河川環境
水質に関しては、坂口谷川全区間が環境基準のB類型(BOD値:3mg/L 以下)に指定されており、環境基準点の寄子橋におけるBOD75%値は近年、環境基準値を満足しています。
感潮区間である河口部では、湾曲した川表部にヨシ等の抽水植物群落が形成され、小動物等の隠れ場となっているほか、汽水魚であるハゼ等の魚類やエビ等の底生動物が生息し、これらを捕食するカワウ、サギ類、オオヨシキリ等の鳥類が飛来します。河口付近の海浜では、静岡県レッドデータブックで「絶滅危惧IB類(EN)※以下のカテゴリーも同出典」に位置づけられているコアジサシが見られるほか、チワラスボ「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」や、純淡水魚のメダカ南日本集団「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」、回遊魚のカワアナゴ、汽水・海水魚のヒナハゼ、ヒモハゼ「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」等の貴重種の生息が確認されています。
国道150 号より上流の直線区間では部分的に寄り洲が形成され、オイカワ、カマツカ等の純淡水魚が多く生息し、アユ、カワアナゴ等の回遊魚、テナガエビ、モクズガニ等の底生動物も生息しています。東名高速道路より上流には、落差工が点在し、小規模ではあるが瀬が形成され、瀬を産卵場とするオイカワ等の純淡水魚、ゴクラクハゼ等の回遊魚が生息しています。堂ヶ谷橋より上流部では、水際の砂州に植生が繁茂し、取水堰上流側には淵が形成され、オイカワ、コイ等の純淡水魚、シマヨシノボリ等の回遊魚が生息するほか、タコノアシ「準絶滅危惧(NT)」、カワヂシャ等の貴重種が生育しています。
坂口谷川中・上流部には落差工が多く存在し、魚類の移動が阻害されており、縦断方向の生態系の連続性が確保されていません。また、一部の区間では河床の固定化に起因する柳等の植生繁茂による河積阻害を引き起こしており、河道内植生の維持管理が課題です。
なお、富士山静岡空港の建設に伴い、郷土種による森林化や赤坂池、千頭ヶ谷ビオトープの整備等が行われ、里山景観や多様な動植物の生息環境の保全・復元が図られています。