利水
古来から太田川の水は、灌漑(かんがい)用水などに利用されてきました。現在では許可水利として水道用水0.0424立方メートル/秒 、工業用水0.0089立方メートル/秒、雑用水0.02立方メートル/秒があるほか、農業用水として約2,570ヘクタールに及ぶ耕地の灌漑に利用されており、このうち約800ヘクタール(2.187立方メートル/秒)が許可水利となっています。
また、太田川の天方地点と新貝地点における過去28 箇年(昭和47年~平成11年)の平均低水流量は、天方地点で0.99立方メートル/秒(0.99立方メートル/秒/100平方キロメートル)、新貝地点で2.32立方メートル/秒(1.28立方メートル/秒/100平方キロメートル)です。
このように、太田川では平常時の流量が少なく、農業用水の安定した取水が困難なため、天竜川及び大井川から補給を受けています。
渇水
太田川の渇水状況は、冬場及び夏場の灌漑期に発生しており、なかでも昭和48年、53年、60年、平成7年、8年が渇水となっています。特に、太田川本川では昭和48年、53年、60年、平成6年、7年、8年に発生した渇水時には、瀬涸れや魚道に水が流れない等の状況が見られ、農業用水の安定取水と動植物の生息などを考慮した流水の正常な機能を維持するための流量の確保が望まれています。
さらに、流域の土地利用の高度化や生活様式の近代化により水道水の需要が増加しており、また既存地下水源の一部では塩水化等水質悪化のために水源転換が必要なことから、これらの需要に対する水源を確保する必要があります。