自然環境
太田川水系の流域では、丘陵地、台地、平地地域の開発が早くから進められ、植林地、市街地、耕作地などに利用されてきましたが、流域や河川空間には比較的良好な自然が残っており、様々な魚類や鳥類が生息する豊かな生物相が形成されています。
魚類
太田川水系ではアユをはじめ56種の魚類が確認されています。
河口付近の感潮域では、ボラやスズキ、ハゼ類といった汽水・海水魚が生息しており、原野谷川合流点より下流域ではコイ、ウグイ、ギンブナ等が多く生息しています。
瀬と淵が連続する中流域から下流域ではアユ、アユカケ、カワムツ、ヨシノボリ類が確認され、毎年アユ釣りで賑わっています。
最上流部の渓流部ではアカザ・アマゴ等の渓流魚が生息しています。また、オイカワは上流域から下流域の広い範囲で生息しています。
鳥類
太田川水系では74種の鳥類が生息が確認されています。
河口部の砂州は、鳥類の貴重な餌場となっており、マガモやヒドリガモ等が越冬し、ハマシギやメダイチドリ等の渡り鳥の中継地となっています。
中流域から上流域の広い範囲において、優れた自然の指標となっているカワセミやヤマセミ等の鳥類が生息しています。
山間部ではタカ類も確認されています。
昆虫類
太田川水系では、クロスズメバチやフタモンアシナガバチをはじめとする302種の昆虫類の生息が確認されています。
上流域から山間部の流水域ではミヤマカワトンボ、シマアメンボ、ミズスマシ等が多く生息し、森林部にはセミ類やアゲハ類が生息しています。
油山寺付近の渓流にはゲンジボタルが生息しています。また、可睡斎の境内にはアブラゼミ、クマゼミ、モノサシトンボ等も見られます。
中流域ではフタモンアシナガバチや流水域や河原に生息するコオニヤンマ、ミヤマカワトンボ、マダラアラゲサルハムシ、ウリハムシ、ミズスマシ等が生息しています。
河口域から下流域では、ホソハリカメムシ、メダカナガカメムシ、フタモンアシナガバチ等が生息しています。
植物
太田川水系では247種の植物が確認されています。
全川にわたってススキ群生、セイタカアワダチソウ群生などの二次草原や、ヨシ・ツルヨシなどの群生が見られます。
下流部など改修を受けてコンクリート護岸となっている部分では、わずかなすき間からススキ、アメリカセンダングサ、メドハギ、ヨモギなどが生育しています。
木本類が見られるのは太田川上流部と中流河岸域などです。また、貴重種としては、奥三河国定公園で指定されているヤマユリが上流域で、ハマボウがぼう僧川との合流点付近で確認されています。