都田川水系

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河川の水利用及び利用に関する現状と課題

河川の水利用

都田川は、一級河川天竜川、二級河川太田川とともに静岡県西部地域4市1町に上水を供給する「遠州広域水道用水供給事業」の水源となっており、水の安定供給だけでなく異常渇水や水質事故などの危険を分散する役割も担っている。
また、都田川水系には、天竜川水系(三方原用水)や豊川水系(豊川用水)を水源としたかんがい排水が流入している。

都田川水系の水利状況

図2-2 都田川水系の水利状況(出典:都田川水系河川整備計画)

都田川水系の水利状況

都田川水系では、水道用水0.432mm3/s、工業用水0.0483mm3/s、雑用水0.0514mm3/s、及び農業用水1.991mm3/sが、許可水利として利用されている。許可水利が設定されているのは都田川、井伊谷川、神宮寺川、釣橋川、宇志川の5河川であり、許可水利量のうち約9割を都田川が占めている。農業用水は、許可水利が約2,500ha、慣行水利も含めると全体で約4,000haのかんがいに利用されている。

表2-2 都田川水系の水利状況表(農業用水)
    許可水利権  慣行水利権
   かんがい面積(ha) 取水量(m3/s) かんがい面積(ha)
北部地域 2,456.0 1.773 863.62
西部地域 27.6 0.218 244.74
東部地域 373.00
合計 2,483.6 1.991 1,481.36

都田川水系では、近年、顕著な渇水被害は発生しておらず適正な水利用がなされていると考えられる。また、平成18年度に流域の住民アンケート(以下、「住民アンケート」という)結果でも、「川の水使用上の心配事」という問いに対し、回答の約6割が「水利用で特に困ったことはない」と回答しており、現在の水利用に関しては大きな問題がないと考えられる。
しかし、都田川水系からの取水量も多く、広い範囲で利用されており、渇水や水質問題等が発生した場合に影響が大きいことから、今後も適正な水利用を維持する必要がある。

都田川の河川整備に関するアンケート調査(H18.11~H19.1 実施)

図2-3 都田川の河川整備に関するアンケート調査(H18.11~H19.1実施)(出典:都田川水系河川整備計画)
~川の水使用上の心配事について~

河川利用

(1)不法係留船

海洋性リクリエーション志向の高まりにより、都田川水系でも浜名湖を中心として、ボードセーリングや水上バイク、プレジャーボートなどの利用が盛んである。
しかし、平成に入った頃から、マリーナ等に所属する船舶を除き、プレジャーボートの多くが浜名湖湖岸などに係留され、漁船とのトラブル、沈廃船などによる環境の悪化や河川の流下阻害などの問題を引き起こした。平成8年度に実施した「浜名湖船艇実態調査」では、確認されたプレジャーボート9,688隻(水上バイク含む)のうち、約7割にあたる6,531隻(内沈廃船226隻)が不法係留船であった。
静岡県では、県内の河川、港湾、漁港等に無断係留されていたプレジャーボートの係留適正化を推進し、公共水域等の秩序維持、県民の生活環境保全、海洋性レクリエーションの健全な発展を図ることを目的として、「静岡県プレジャーボートの係留保管の適正化等に関する条例」を制定(平成12年1月1日施行)した。
この条例に基づき、環境悪化や河川の流下阻害の要因となっていた沈廃船295隻が平成11年度から平成15年度の間に簡易代執行により撤去され、放置艇は(財)浜名湖総合環境財団が整備した暫定係留施設に暫定係留された。
暫定係留された船艇は、暫定係留施設が持つ河川占用許可の期限となる平成23年3月末までに、河川管理者及び港湾管理者である静岡県が管理する舞阪PBS(プレジャーボートスポット)、浜名湖総合環境財団で管理する7箇所の公共マリーナと17箇所の公共係留施設に、約3,300隻が係留保管を完了した。
また、同条例では、プレジャーボート等を湖内で保管する場合に届出を義務づけており、静岡県河川法施行細則で定める通行許可などとともに、秩序ある利用がなされるよう適切に運用していく必要がある。

(2)親水空間

河川における親水空間は、佐鳴湖や都田川、神宮寺川などで、堤防や高水敷などを利用して整備されてきた。
このうち、佐鳴湖は、湖面を含め湖岸が「佐鳴湖公園」の都市計画公園区域となっており、湖面は漕艇、湖岸は散策など、年間約40万人に利用されている。佐鳴湖の北岸地区は、平成6年3月に都市公園法に基づく事業認可を受け、浜松市が、河川区域に隣接する範囲を中心に公園整備を進めてきた。今後は、河川区域と都市計画公園区域が重複する範囲の整備が予定されており、湖岸堤の整備にあたっては公園事業と調整し、親水空間の提供を図る必要がある。
他の河川においても、都市計画マスタープランや周辺の土地利用、地域の要望などを踏まえ、地域づくりの一助となるなどの意義を持つ親水施設については、整備を進める必要がある。

(3)浜名湖における利用

浜名湖は、豊富な魚類の生息場となっていることから、古くから漁場として利用され、海苔やカキなどの養殖も行われている。また、湖内や遠州灘を漁場とする漁船が利用する漁港や、当地域の物流を支える港湾も設置されている。そのほか、湖岸沿いの散策、花火大会、祭りなどの行事、釣などの目的で利用されている。
このように、浜名湖は、地域の産業を支える場として、また、観光、レジャー、憩いの場として、多くの人に様々な方法で利用されており、このことが浜名湖の魅力のひとつとなっている。
このため、浜名湖の魅力を損なうことがないように、水域が適切に利用されることが必要である。また、河川の整備や管理にあたっても、これらの魅力を維持し高めることに留意するとともに、関係機関と連携・調整を図る必要がある。

都田川の河川整備に関するアンケート調査(H18.11~H19.1 実施)

図2-4 都田川の河川整備に関するアンケート調査(H18.11~H19.1実施)(出典:都田川水系河川整備計画)
~浜名湖の利用目的について~

(4)地域住民と連携

当流域には、浜名湖や佐鳴湖をはじめ、河川に関係する多くの住民活動が行われている。活動内容も、清掃活動や緑化活動、自然環境保全、水質改善など多様なものとなっている。
住民アンケートを行った結果でも、「河川や堤防のゴミ掃除、草刈などの作業はどうするべきか」という問いに対し、回答者の約6割が、「住民が主体的に行うべき」または「住民もある程度行うべき」と回答しており、河川の環境や管理に対して高い参加意識がうかがえる。
河川の整備や管理の質を高め、地域のニーズに細やかに対応できるものとするために、参加意欲のある地域の住民と積極的に連携していく必要がある。

都田川の河川整備に関するアンケート調査(H18.11~H19.1 実施)

図2-5 都田川の河川整備に関するアンケート調査(H18.11~H19.1実施)(出典:都田川水系河川整備計画)
~河川や堤防のゴミ掃除、草刈などの作業はどうするべきか~