流域の歴史・民俗
都田川流域では、約2万年前にさかのぼる旧石器をはじめ、縄文早期に比定される三ヶ日人骨、東海地方最大級の貝塚を有する縄文時代後晩期の蜆塚遺跡など、原始時代から人びとの足跡が見られる。弥生時代には稲作が普及し、大規模な集落が展開しただけでなく銅鐸が数多く発見されている。
浜名湖は古く、滋賀県の琵琶湖と対比され、都に近い「近つ淡海」に対して「遠つ淡海」と呼ばれ、「遠江」の国名につながった。浜名湖の南と北を通過する官道が設けられ、南には東海道、北は後世姫街道と呼ばれるようになる、東西交通の要衝である。平成26年には、新たに「遠江八景」が選定されるなど、古代から現代まで名所である。新川流域には佐鳴湖があり、こちらも江戸時代には「佐鳴八景」が歌に詠まれていた。こうした湖を擁する風景は、都田川水系の大きな個性になっている。
図1-10 都田川水系の主な史跡・文化財(出典:都田川水系河川整備計画)
都田川流域の各河川は日常の散策や、釣り、伝統行事、花火大会、自然学習、魚とりや水遊びなど水とのふれあいの場として市民の人気を集めている。さらに、流域の川に関する伝統行事としては、都田川では、川原に施餓鬼棚を設けて供物や人形を置き、僧侶の読経で供養する「川合淵祭り」や、都田川の堤防では、姫街道の名にちなんでお姫様役の女性が駕籠に乗り桜吹雪の都田川堤を練り歩く「姫様道中」などが行われている。
図1-11 都田川水系の観光資源・祭り(出典:都田川水系河川整備計画)