治水事業の沿革と現状
萩間川水系の戦後の主な洪水被害は、昭和33年９月、昭和37年７月、昭和41年９月、昭和57年９月に発生し、延べ17回の堤防決壊など、度々被害を繰り返してきた。近年では、平成２年９月の台風20号において、床下浸水88戸、床上浸水45戸もの被害を生じているほか、平成16年10月洪水においても床下浸水16戸、床上浸水２戸の被害を被っている。
萩間川における治水の歴史は古く、江戸時代の田沼以前、板倉勝清、本多忠央が領主であった時代（1746～1758）に東萩間の地域で、高さ２尺８寸、長さ30間にわたる築堤が行われた記録が残っている。
昭和の時代には、萩間川で中小河川改修事業により河川整備が行われ、支川の菅ヶ谷川、白井川、部ヶ谷川においても、局部改良事業、災害関連事業、治水等特別対策事業等により河川整備が行われた。
現在は、平成５年度から広域基幹河川改修事業により、萩間川本川の河道改修が進められているほか、萩間川ふるさとの川整備事業により、周辺景観に配慮した緩傾斜護岸や散策道路の整備も行われている。平成９年の河川法改正に伴い、萩間川水系河川整備基本方針を平成21年３月に策定し、萩間川の基準地点相良における基本高水のピーク流量を560m3/sとし、計画高水流量を560m3/sとする計画とした。
過去の津波被害に関しては、1854年12月に発生した安政地震により、河口に近い相良地区等で被害が発生した記録が残っている。
なお、現在までに、当時の地震被害想定に基づき津波対策として、河口部に水門が設置されている。
東日本大震災を踏まえた静岡県第４次地震被害想定（平成25年）では、発生頻度が比較的高く、発生すれば大きな被害をもたらす「計画津波」※１と、発生頻度は極めて低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす「最大クラスの津波」※２の二つのレベルの津波が設定されており、萩間川では水門がない場合、「計画津波」は河川内を約２km以上遡上するとともに、「最大クラスの津波」では、河川及び海岸堤防を越流し、沿岸部で最大約150ha以上が浸水すると想定されている。
※１ 計画津波：静岡県第４次地震被害想定で対象としている「レベル１の津波」
※２ 最大クラスの津波：静岡県第４次地震被害想定で対象としている「レベル２の津波」