自然公園
中新井池
竜今寺川流域は、土地の保水力が弱く、夏の干ばつ期には用水不足のため絶えず農民は困窮していました。それを解消するため明治末期から大正初期にかけて築造されたのが中新井池(なかあらいいけ)です。現在、周辺は公園として整備され、流域の人たちの憩いの場所として利用されています。
中新井池には全国的にも珍しいオニバス(スイレン科オニバス属)が生育しています。オニバスは直径2mあまりの大きな葉を付ける一年草の水生植物で、8月から9月にかけて水面に浮上して赤紫色の可憐な花を咲かせます。
花は水面上へ出て花を咲かせる開放花と6月下旬から水中で自家受粉して結実する閉鎖花があります。オニバスの名にふさわしく葉にもガクにも花茎にも棘がビッシリ付いています。
オニバスは、昨今の池沼の埋め立てや環境の変化により激減し、絶滅が危惧されることから環境庁のレッドデータカテゴリー絶滅危惧2類(VU)に位置づけられています。中新井池はその貴重なオニバスが自生する池として昭和58年2月25日に静岡県より天然記念物文化財として指定されました。この貴重なオニバスが自生する中新井池を大切に保存し、後世へと引き継いで行くため、市と地元の方々とが協力して保護活動を行っています。
中新井池の珍しいオニバス