稲生沢川水系

稲生沢川,平滑川,敷根川,蓮台寺川,稲梓川,須郷川

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治水事業の沿革と現状

稲生沢川流域は、豪雨や台風による風水害に幾度にわたって見舞われている。過去最も被害をもたらした洪水としては、昭和51年7月豪雨が挙げられ、有堤部の越水により約200haが浸水し、床上浸水1,372棟、床下浸水539棟等の甚大な被害を受けた。これを契機に、激甚災害対策特別緊急事業が採択され、昭和51年度から昭和56年度に掛けて、河口より立野地先までの約4.8km区間において河道拡幅や河道掘削による改修工事が実施されている。
また、平成3年9月の豪雨では、山間部における局所的な集中豪雨により、無堤部での浸水や内水被害、土砂崩れが発生し、浸水面積約24ha、床上浸水64棟、床下浸水156棟などの被害が生じた。近年では、平成10年、平成15年などに平滑川等で内水氾濫による浸水被害発生しているが、これまでの河川改修により、外水による浸水被害は減少している。しかし、下流域において市街化が進むとともに、気候変動による集中豪雨の増加や山腹崩壊による土砂災害の危険性が高まるなど、河川の氾濫等が発生した場合の被害は大きくなることが懸念される。
津波被害に関しては、安政元年(1854年)に発生した安政東海地震により、下田市の沿岸部に高さ3.5mから6.8mの津波が到達し、家屋等937戸が流出し、122人が水死したとの記録が残っている。
津波対策としては、想定される東海地震による津波への対策として海岸防潮堤の整備が完了しているが、河口部は開口部となっている。また、東日本大震災を踏まえた静岡県第4次地震被害想定(平成25年)では、発生頻度が比較的高く、発生すれば大きな被害をもたらす「計画津波」※1と、発生頻度は極めて低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす「最大クラスの津波」※2の二つのレベルの津波が設定されており、稲生沢川では「計画津波」は河川内を約1.7km以上遡上するとともに、「最大クラスの津波」では、河川及び海岸堤防を越流し、沿岸部で最大約120ha以上が浸水すると想定されている。

※1 計画津波:静岡県第4次地震被害想定で対象としている「レベル1の津波」
※2 最大クラスの津波:静岡県第4次地震被害想定で対象としている「レベル2の津波」