基本情報
水系名
大賀茂川水系(おおがもがわすいけい)
河川ごとの紹介
大賀茂川(おおがもがわ)
[延長]4,550m
[起点]下田市賀茂字中原768番地先の梅ノ木田橋
[終点]海に至る
河川及び流域の概要
大賀茂川は、稲生沢川流域および青野川流域との分水嶺である法螺ヶ岳(標高332m)に源を発し、下田市大賀茂地区をほぼ真東に貫き、支川と合流した後にほぼ真南に進路を変え、下田市吉佐美地区を貫流して相模湾へ注ぐ流域面積9.99km2、流路延長4.55kmの二級河川である。流域は、伊豆半島南部の中心である下田市の南西部に属する。
流域の地形は、大部分が小起伏山地であり、伊豆半島が海底火山であった時代の火山性堆積物から成る白浜層群で構成される。また、谷底平野が上流部から形成され、上流部では砂泥礫互層、中下流部は泥層、河口までは砂層に覆われている。
河道特性としては、上流部は河床勾配が1/150程度の掘込河道となっており、中下流部は河床勾配が1/600程度の緩流で断続的に堤防を有している。
流域の気候は、年平均気温が16.8℃(石廊崎特別地域気象観測所平成15年~平成24年)で、黒潮の影響により温暖な気候である。年平均降水量は平均1,785mm(石廊崎特別地域気象観測所平成15年~平成24年)であり、全国平均の1,610mm(昭和56年~平成22年)を上回る。
流域の土地利用は、山林が約77%を占め、宅地が約10%、畑地が約7%、水田が約5%となっており、隣接する稲生沢川流域よりも山林の割合が少なく宅地の割合が多く、谷底平野が発達している地形的特徴が土地利用にも現れている。土地利用の変化については、平成21年度までの約30年間で宅地が3倍に拡大し、畑地及び水田が減少している。
流域の人口は、平成18年の約3,900人をピークに減少に転じ、平成26年では約3,700人となっている。一方、世帯数は平成18年以降も増加が続いているものの、世帯当たり人員は平成26年に2.2人となり、約30年間で2/3に減少した。また、65歳以上の高齢者の割合は3割を超え、全国平均を上回っている。
産業は、平成22年度の下田市統計による産業別就労人口が、第一次産業5%、第二次産業13%、第三次産業82%となっている。下田市は、豊かな自然環境や温泉、開国の地としての歴史などの観光資源に恵まれ、年間で約300万人が訪れるなど、観光が主要な産業となっている。
主要な交通網としては、下流部で国道136号が横断し、上流部では下田市街地と南伊豆町を結ぶ県道が大賀茂川沿いを縦断している。
河川に関わる歴史や文化としては、古来より金や銅などの鉱脈が豊富な地区であり、平安時代中期頃の製鉄所の遺構とされる大賀茂遺跡が中流部にあるため、大賀茂川を利用して海岸で採取する浜砂鉄や山林からの木炭等が運搬されていた可能性が考えられる。
河川の整備の基本となるべき事項
1.基本高水並びにその河道への配分に関する事項
基本高水のピーク流量は、既往の洪水や河川の規模、流域内の資産・人口等を踏まえ、県内の他河川とのバランスを考慮し、年超過確率1/30規模の降雨による洪水を対象として、基準地点石田橋において120m3/sとし、これを河道へ配分する。
河川名 | 基準地点 | 基本高水のピーク流量(m3/s) | 河道への配分流量(m3/s) |
大賀茂川 | 石田橋 | 120 | 120 |
2.主要な地点における計画高水流量に関する事項
計画高水流量は、基準地点石田橋において基本高水のピーク流量と同じ120m3/sとする。
大賀茂川計画高水流量配分図(出典:大賀茂川水系河川整備基本方針)
3.主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係る川幅に関する事項
主要な地点における計画高水位と計画横断形に係る概ねの川幅は、以下のとおりとする。
河川名 | 地点名 | 河口からの距離(km) | 計画高水位T.P.(m) | 川幅(m) |
大賀茂川 | 河口 | 0.0 | T.P.+13.40※ | - |
石田橋 | 1.9 | T.P.+3.43 | 15.0 |
(注)T.P.:東京湾中等潮位
※計画津波水位
4.主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項
流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関しては、今後さらに、河川流況等の把握に努め、流水の占用、動植物の生息地または生育地の状況、流水の清潔の保持、景観等の観点からの調査検討を踏まえて設定するものとする。
(出典:大賀茂川水系河川整備基本方針)