那賀川水系

那賀川,岩科川,船田川,明付川

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河川環境

那賀川水系の水質については、現在環境基準の類型指定はされていないものの、那賀川の宮の前橋、岩科川の宇治橋で水質観測が実施されている。平成13年以降の調査結果では、両地点ともBOD値(年平均値)はほぼ0.5~1.5mg/lで推移しており、概ね環境基準のA類型相当である。
那賀川水系では公共下水道による整備は行われておらず、「生活排水処理基本計画(平成13年3月)」に基づき合併処理浄化槽の設置が進められている。 流域の自然環境は、上流部、中流部、下流部に分けることができ、河床構成材料は、山間渓流部である上流部は巨礫、岩が見られ、谷底平野を形成する中流部、下流部では緩やかな勾配となり、玉石、砂礫混じり砂、シルトからなっている。
那賀川水系に生息する動植物については、上流域から河口域にかけてそれぞれの生息環境に適した多様な種が確認されている。特に、河口部周辺の汽水域では、ヌマチチブやゴクラクハゼ等のハゼ科魚類、アユカケ(カマキリ)、アユ、ニホンウナギなどの回遊魚や汽水性の甲殻類と貝類、海水魚などのほか、浅場の河床には冬季にカワノリ(主にヒラアオノリ、ボウアオノリ)が生育し松崎の特産として知られるなど、豊かな生態系が特徴的である。一方で、アメリカザリガニなど注意を要する外来種も確認されている。
昆虫では岩科川流域にキイロサナエなどの希少な種が確認されているほか、那賀川中流域では、5月の中旬から6月上旬にかけてゲンジボタルが見られる。鳥類では、ヤマセミは平成17年に確認されたのを最後に、近年、那賀川水系では見られなくなった。
植生は、上流部山岳地帯ではスギ・ヒノキ・サワラ植林が分布し、その中にアカマツ植林が点在するほか、中腹部ではシイ・カシ二次林、下流部平地近くにはコナラ群落が広がり、クヌギ植林も見られる。
河道内には堰等の横断工作物が多数存在し、施設周辺は淵等の形成が見られるなど生物にとって良好な生息環境となっている反面、魚道がなく、河川における上下流における連続性の障害となるなど、課題も見られる。