那賀川水系

那賀川,岩科川,船田川,明付川

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基本情報

水系名

那賀川水系(なかがわすいけい)

河川ごとの紹介

那賀川(なかがわ)
[延長]10,550m
【左岸】
[起点]静岡県賀茂郡松崎町池代字神の前510番地先
[終点]海に至る
【右岸】
[起点]静岡県賀茂郡松崎町池代字向田469番地先
[終点]海に至る

岩科川(いわしながわ)
[延長]6,350m
[起点]早柄川合流点
[終点]那賀川への合流点

船田川(ふなたがわ)
[延長]1,000m
[起点]静岡県賀茂郡松崎町船田字田の狭528番の2地先の砂防第1号堰堤
[終点]那賀川への合流点

明伏川(あけぶしがわ)
[延長]3,100m
【左岸】
[起点]静岡県賀茂郡松崎町小杉原字空見105番の2地先
[終点]那賀川への合流点
【右岸】
[起点]静岡県賀茂郡松崎町小杉原字小畑105番の1地先
[終点]那賀川への合流点

那賀川ののどかな風景の写真
那賀川ののどかな風景

支川・岩科川の写真
支川・岩科川

ときわ大橋と時計塔の写真
ときわ大橋と時計塔

河川及び流域の概要

那賀川は、稲生沢川流域及び河津川流域との分水嶺である大鍋越に源を発し、途中、明伏川や船田川などを合流しながら松崎町をほぼ真西に貫き、町の中心部を二分した後、最大支川の岩科川を合流して松崎港(駿河湾)へ流入する流域面積約72.63km2、指定区間延長10.55kmの二級河川である。流域は松崎町の面積の約85%を占め、松崎町の住民にとっては、古くから人々の生活と密接な関わりを持つ「ふるさとの川」であり、伊豆の山々に育まれた豊かな水を沿岸域に供給する「いのちの川」でもある。
流域の大部分を占める山地は起伏に富み、地質は主に、伊豆半島が海底火山であった時代の火山性堆積物から成る白浜層群や湯ヶ島層群等で構成される。また、中下流部には砂礫や泥質の堆積物で覆われる谷底平野が広がり、河口付近は砂で被覆された浜堤が形成されている。
河道特性としては、上流部は河床勾配が1/50~1/100の急流で大部分が山付き区間となっており、中流部は河床勾配が約1/100~1/250で堤防を有する区間が多く、下流部は河床勾配が1/350~1/450と緩やかで感潮区間となっている。
流域の気候は、遠州灘から駿河湾に沿って流れる黒潮の影響を受ける海洋性気候により、平均気温は16.4℃(松崎観測所平成15~平成24年)と温暖で、年平均降水量は2,067mm(松崎観測所平成15~平成24年)と、全国平均の1,610mm(昭和56年~平成22年平均)を上回る。
流域の土地利用は、山林が約90%(平成21年度)と大部分を占めるほか、中流部の谷底平地には水田や田畑など、下流部には松崎町の中心市街地が広がっている。土地利用の変化については、市街地の面積は昭和51年以降大きな変化は見られない一方、山腹に見られた棚田はその多くが耕作放棄によって樹林化するなど植生の遷移が進んでいる。また、山地部ではシカによる下層植生の食害が顕在化し、保水力低下や土壌流出など河川への影響も懸念されている。
流域を含む松崎町の人口は、昭和35年の約12,000人をピークに減少し、平成22年では約7,700人である。一方、世帯数は昭和35年の約2,750世帯から平成22年は約3,020世帯と微増しており、世帯当たり人員は平成22年に2.5人となり約50年前の6割弱に減少した、また、65歳以上の高齢者の割合は3割を超え、全国平均を上回っている。
産業は、平成22年度国勢調査によると、松崎町の産業別の就労人口が第一次産業7%、第二次産業18%、第三次産業75%となっている。松崎町は、豊かな自然環境や温泉などの観光資源に恵まれ、町を訪れる観光客は年間約60万人が町を訪れるなど、観光が産業の中心となっている。また、代表的な農作物としては、わさび、雑柑、桜葉などがあり、中でも桜葉は全国シェアの大部分を占めている。
河川に関わる歴史や文化としては、明治40年代まで良質な「伊豆炭」や材木の運搬に川船が利用され、河口の港から東京などに回漕された。沿川には、国指定重要文化財の旧岩科学校校舎や明治商家中瀬邸など、なまこ壁と呼ばれる様式の外壁をもつ建物が多く残されており、下流部に架かるときわ大橋にはなまこ壁を模した意匠が施されるなど、歴史的な街並みに溶け込んだ景観を醸し出している。また、那賀川上流部では300年の歴史を有す大沢温泉が昔ながらのたたずまいを残し、ここから下流に至る各所において桜堤と清流が調和した景観を呈すなど、沿川が「花とロマンの里」松崎における主要な景観軸を形成している。

河川の整備の基本となるべき事項

1.基本高水並びにその河道への配分に関する事項

基本高水のピーク流量は、既往の洪水や河川の規模、流域内の資産・人口等を踏まえ、県内の他河川とのバランスを考慮し、年超過確率1/50規模の降雨による洪水を対象として、基準地点伏倉橋において570m3/sとし、これを河道へ配分する。

基本高水のピーク流量一覧表
河川名 地点名 基本高水のピーク流量(m3/s) 河道への配分流量(m3/s)
那賀川 伏倉橋 570 570

2.主要な地点における計画高水流量に関する事項

計画高水流量は、基準地点伏倉橋において基本高水のピーク流量と同じ570m3/sとする。
最大支川である岩科川の主要地点柳原橋で350m3/s、主要地点の河口において850m3/sとする。

 那賀川計画高水流量配分図

那賀川計画高水流量配分図(出典:那賀川水系河川整備基本方針)

3.主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係る川幅に関する事項

主要な地点における計画高水位と計画横断形に係る概ねの川幅は、以下のとおりとする。

主要な地点における計画高水位、川幅一覧表
河川名 地点名 河口からの距離(km) 計画高水位(m) 川幅(m)
那賀川 伏倉橋 2.04 TP+5.95 46
河口 0.00 TP+10.60※1 -
岩科川 柳原橋 1.40 TP+4.19 30

(注)T.P.:東京湾中等潮位
※1:計画津波水位

4.主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項

流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関しては、今後さらに、河川流況等の把握に努め、流水の占用、動植物の生息地または生育地の状況、流水の清潔の保持、景観等の観点からの調査検討を踏まえて設定するものとする。

 那賀川水系流域図
(出典:那賀川水系河川整備基本方針)

那賀川水系流域図.pdf/419KB/