井田大川水系

井田大川

TOP治水・利水 > 治水の現状と課題

治水事業の沿革と現状

戸田地区の過去の水害については、昭和 13 年6月29 日に大洪水に襲われて、死者1名、漁家6戸、網納屋5棟が破損、床上浸水14 戸、無動力船10 隻が破損の被害を受けた。昭和36 年には、6月23 日~28 日にかけて梅雨前線が停滞したことで、時間雨量最大65mm、累計雨量544mm の集中豪雨が発生したことにより大川の堤防が決壊し、家屋流出21 戸、全半壊29 戸、床上浸水366 戸、農地の崩壊50 町歩の被害を受けた。その後は、大規模な水害などの記録は確認されない。
井田大川については、昭和16 年から18 年にかけて堰堤工や床固工、護岸工の整備が進められており、その後、昭和19 年に砂防指定地として県管理区間上流の渓流から河口部にかけて砂防指定地が指定されている。また、昭和28 年と37 年頃の豪雨で被災した護岸の復旧が行われ、昭和60 年代に流路工や護岸工の整備が行われた。現在、河川改修などの工事は行われていない。
これまでの整備により、井田大川の現況流下能力は、年超過確率1/30 規模の降雨による洪水を河道満流で流すことができる安全度を有しているが、急峻な山地と脆弱な地質からなる井田大川流域では、度々洪水や土石流による災害が発生した歴史があり、今後の気候変動による集中豪雨の増加や台風の大型化による洪水や土石流の発生の危険性が高まるなど、河川の氾濫等が発生した場合の被害は大きくなることが懸念される。
津波被害に関しては、嘉永7年に南海トラフ沿いの沖合域を震源とする安政東海地震(マグニチュード8.4)が発生し、東海地方から紀伊半島南道部にかけての太平洋沿岸部で甚大な被害が発生した。沼津市大浦で3.5~5.lm、井田地区で3m 以下もの浸水高さの津波が襲い、593 戸のうち流出24 戸、潰家81 戸、大破33 戸、死者30 人といった被害が発生したとの記録が災害史に残っている。
井田大川では、これまでに津波対策による堤防等の整備等は行われていないが、河口に位置する井田漁港では、高潮対策で海岸堤防が整備されており、静岡県第3次地震被害想定で想定される津波の高さを満足している。
東日本大震災を踏まえた静岡県第4次地震被害想定(平成25 年)では、発生頻度が比較的高く、発生すれば大きな被害をもたらす「レベル1の津波」と、発生頻度が極めて低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす「レベル2の津波」の二つのレベルの津波が設定されており、井田大川では、「レベル1の津波」は河川内を約0.2km 以上遡上するとともに、「レベル2の津波」では、河川護岸及び海岸堤防を越流し、沿岸部で最大約3.3ha 以上が浸水すると想定されている。