河川環境
新野川の水質については、環境基準の類型指定はされていないが、御前崎市環境基本計画ではB類型を環境目標としている。御前崎市の測定によると、下流部の新野川橋地点のBOD値は、10年前までは環境基準のB類型相当である3mg/lを頻繁に上回っていたが、平成20年以降は0.5~2.5mg/lで推移しており、改善傾向にある。平成16年~17年までに下水道、合併浄化槽等の整備が概成しており、平成24年度時点での汚水処理区域内人口に対する下水道、農業集落排水、合併浄化槽の接続率は90%以上となっている。
河川周辺に生息する動植物については、上流部から河口にかけてそれぞれの生息環境に適した多様な種が確認されている。下流部では汽水性のボラや回遊性の絶滅危惧種であるニホンウナギなどの魚類が生息し、流水のある中上流部では、カワムツ、カマツカや、回遊性であるシマヨシノボリ、モクズガニが確認されている。緩流部の水際植物帯ではタモロコ、メダカ南日本集団が確認され、上流の本川に流れ込む支川では、ホトケドジョウが確認されている。
河川と連続した水田や流域内に数多く存在するため池等を含め、新野川水系の河川を軸とした現状の河川環境が多様な生物の生息環境となっている。しかし、新野川水系の河川に設置されている堰、落差工の中には、魚道がないなど河川における上下流の連続性の障害となるものもあり、改善が必要である。
下流部の河道内には河畔林やツルヨシ、ネザサが繁茂し、中流域の河床はツルヨシで覆われ、水際や河原にはカワヂシャ、タコノアシなどの重要種も確認されている。堤防沿いには特定外来生物のオオキンケイギクも広範囲に見られ、新野川流域における在来の生態系が悪影響を受ける恐れもあり、河川環境の整備と保全を図る上での課題の1つとなっている。