安良里浜川水系

安良里浜川

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基本情報

水系名

安良里浜川水系(あらりはまがわすいけい)

河川ごとの紹介

安良里浜川(あらりはまがわ)
[延長]800m
[起点]静岡県賀茂郡賀茂村安良里字立野373番地先の頭首工(静岡県賀茂郡西伊豆町安良里字立野373番地先の頭首工)
[終点]海に至る

河川及び流域の概要

安良里浜川は、笠蓋山(標高703m)西麓に源を発し、西伊豆町安良里地区をほぼ東西に貫きながら駿河湾に注ぐ流域面積3.5km2、指定区間延長0.80km の二級河川である。
流域は、海岸線が富士箱根伊豆国立公園内に位置するとともに、河口部周辺は名勝伊豆西南海岸区域に指定されており、豊かな自然が残されている。また流域の地形は、約90%を山地が占め、主に標高600m 以上の大起伏山地と標高200~600m の中起伏山地で構成され、中流から下流部には川沿いのわずかな範囲に平地が分布する。
流域の地質は、主に伊豆半島が海底火山であった時代の火山性堆積物から成る湯ヶ島層群で形成されており、上流域の一部に石英安山岩類、白浜層群が分布する。また、河川沿川にわずかに礫層・砂礫層が分布している。
河道特性としては、上流部から下流部にかけ1/20~1/60 と急峻であり、概ね堀込み河道となっている。
流域の気候は、遠州灘から駿河湾に沿って流れる黒潮の影響を受ける海洋性気候により、平均気温は16.2℃(気象庁松崎観測所昭和61 年~平成27 年)と全国平均の15.5℃に比べ温暖である。また、年平均降水量は1,966mm(気象庁松崎観測所昭和61 年~平成27 年)と、全国平均の1,718mm を上回る。
流域の土地利用は、山林が約90%と大部分を占め、水田・畑・原野等が約8%、市街地が 約2%であり、河川沿いを中心に宅地や田畑が分布している。
土地利用の変化については、昭和51 年から平成21 年にかけて、河川沿川で宅地の割合がわずかに増加したほか、上流域において行われている砕石の採掘範囲が拡大していることが確認できる。また近年では、流域内の山地部においてニホンジカ等の野生鳥獣被害が増加しており、下層植生の劣化に伴う保水力低下や土壌流出など河川への影響が懸念されている。
流域を含む西伊豆町の人口は、平成22 年時点で総数9,469 人であり、昭和35 年(1960年)頃をピークに減少傾向にある。また、65 歳以上の高齢者の割合は41%であり、静岡県内で最も高く、全国平均を大幅に上回っている。
産業は、昭和30 年代までは農業、漁業等の第一次産業が中心であったが、昭和40年代以降は大幅に減少し、現在は第三次産業が中心である。平成22 年国勢調査によると、西伊豆町の産業別就労人口は第一次産業が約6%、第二次産業が約22%、第三次産業が約73%となっており、中でも「飲食業・宿泊業」の就業人口が最も多い。西伊豆町は川や海、山などの豊かな自然環境をいかした観光が産業の中心で、近海で水揚げされる魚介類や天草などの海産物、渓流部などで栽培が盛んなわさびなど数多くの特産品のほか、町のキャッチフレーズとして掲げる「美しい夕陽」が見える景観や、温泉施設、海水浴場、キャンプ場などを目当てに年間約80 万人の観光客が訪れている。
流域の交通については、伊豆半島の中央部と西伊豆地域を結ぶ国道136 号が安良里浜川中流部で横断しており、地域の主要幹線道路であるとともに災害時における緊急輸送路としての役割も担っている。また、現在、伊豆地域では伊豆縦貫自動車道の整備が進められており、今後、更なる利便性の向上が期待される。
河川に関わる歴史や文化としては、伊豆の山々からわずかに開かれた平野と、河口部の入り江に形成された天然の良港を中心に漁村集落が形成され、旧安良里村は漁業を中心として栄えた。遠洋漁業の基地として発展した昭和20 年代には、カツオの水揚げなどで賑わうとともに、造船業が盛んであったことでも知られている。
明治時代から昭和30 年代までは、「巾着港」と呼ばれる入口が狭く奥が広がった湾の地形特性を活かし、イルカの追い込み漁が盛んに行われ、現地にはかつてのイルカ捕獲に対する供養塔や、漁に用いる網の保管場所である網屋崎が残されている。
流域周辺には豊漁を祝う多爾夜神社の猿子踊りが西伊豆町の無形文化財に指定されている。

 

河川の整備の基本となるべき事項

1.基本高水並びにその河道への配分に関する事項

基本高水のピーク流量は、既往の洪水や河川の規模、流域内の資産・人口等を踏まえ、県内の他河川とのバランスを考慮し、年超過確率 1/30 規模の降雨による洪水を対象として、基準地点新浜川橋において65m3/s とし、これを河道へ配分する。

基本高水のピーク流量等一覧表
河川名 基準地点 基本高水のピーク流量(m3/s) 河道への配分流量(m3/s)
安良里浜川 新浜川橋 65 65

2.主要な地点における計画高水流量に関する事項

計画高水流量は、基準地点新浜川橋において基本高水のピーク流量と同じ65m3/s とする。

 計画高水流量配分図

計画高水流量配分図(出典:安良里浜川水系河川整備基本方針)

3.主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係る川幅に関する事項

主要な地点における計画高水位と計画横断形に係る概ねの川幅は、以下のとおりとする。

主要な地点における計画高水位、川幅
河川名 地点名 河口からの距離(km) 計画高水位T.P.(m) 川幅(m)
安良里浜川 河口 0.00 T.P.+5.10※ -
新浜川橋 0.41 T.P.+7.87 6.2

(注)T.P.:東京湾中等潮位
※:計画津波水位

4.主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項

流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関しては、今後さらに、河川流況等の把握に努め、流水の占用、動植物の生息地または生育地の状況、流水の清潔の保持、景観等の観点からの調査検討を踏まえて設定するものとする。

 安良里浜川水系図
(出典:仁科川水系河川整備基本方針)

安良里浜川水系図.pdf/118KB/